台湾一周のんべんだらり歩行

台湾を歩いて一周(環島)する日記

【台湾徒歩環島】8日目 雙冬~日月潭

8日目、日月潭を目指す。

距離があるのでけっこう厳しいとは思っていたけど、辛い一日だった。と言うか、歩いてる後半はだいたい辛いけど。

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日月潭を経由していく道には、一応自転車道路の看板やマークは付いているけれど、専用の道はない。
しかも原付用の道もないので、すぐそばを車が掠めていく。
交通量は少ないものの、トラックや観光バスの大型車両が多いので、後ろから轟音が近づいてくると道のギリギリに寄りビクビクしていないといけない。

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ひとつひとつの距離は短いけれどトンネルが多い。側溝の上を怯えながら歩く。

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突然山の中に村が見えたり、たまにハッとする景色がやって来る。木が南国。

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トイレに寄ったインフォメーションのおじさん。
日月潭までの残りの距離を聞きげんなり。

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ファミマの店番犬。真面目な顔でジっと動かない。
癒される。

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足が痛くてもう嫌だ。もう歩けん。無理。と思ってるところ。

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日月潭は山の上にあるので、基本上り坂だ。急な上りこそないものの、地味な坂が続いている。
視界いっぱい続く坂道に心の中で嘆いていると、バイクが止まりポッチャリした真っ黒の男の子に話しかけられる。原住民の子かもしれない。

「どこまで行くの~?僕は日月潭まで行くんだけど乗ってく~?」

(乗りたい…乗りたい…)

「ありがとう。でも歩いて環島してるから、乗れないんだ。ありがとう。」

天使が去っていってしまった。
走り去った後も、もし乗せてもらっていたら…と自分がバイクの後部座席で風を受けて走っているところを想像する。
そんな事を夢想して延々続く坂を上る。
するとまた、今度は20メートルほど先にバイクが止まり、チラチラとこちらを振り返っている。
待っていてくれているようなので小走りで向かうと、前に小さな男の子を乗せた女性が話しかけてくる。

「どこまで行くの? 歩いてるの? どこから来たの?」

「えー…日限潭まで行くんですが、歩き環島なので…」

「まだまだ遠いよ。大丈夫? 何か手伝おうか?」

「ありがとう。でも、自分で歩いていかないと行けないので…」

断りながらも、バイクの三人乗りはしたことないなあと思い、また自分が風を切って颯爽と坂道をかけ上がる姿を想像する。

本日二人目の天使が去っていく。

足裏の痛みが限界で、歩行速度が極端に落ちていく。日が沈む前には着きたい一心で足を出す。

坂を上りきった先で、声をかけられる。
振り向くと先程の女性が今度は後ろにも女の子を乗せ、サンケツでそこにいた。どうやら子供のお迎えに来ていたらしい。

「日本人? 大丈夫? 水ある? ゆっくり歩いてて水持ってきてあげるから」

言われるまでもなくゆっくり歩いてると、どこからかペットボトルを三本も持って戻ってきた。
こんなにあると重いかなあと言っているので、水はたくさん飲むのでもらいますと言ってザックに突っ込む。
そしてその女性が日月潭への近道があるから、先導して連れていってくれると言う。
ありがたいけれど徒歩はかなり遅いので、道だけおしえてもらい自分で行こうとすると、自分は急いでないから大丈夫と、ゆっくり走り出す。

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所々で止まり追い付くのを待っていてくれる。
追い付くとガイドのように「ここは日月潭の特産の茶葉を作ってるの」と解説をして、また少し先を走っていく。
この間かなりのハイペースで歩いていたけれど、不思議と痛みを忘れていた。
二十分ほどで茶畑を突っ切り、また大きな通りに出る。先導はここまで。
あとはこの道を真っ直ぐ、湖が見えたら右に曲がればその先にあなたの宿があるから。とのこと。

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記念撮影。子供は恥ずかしがって写真に入ってくれなかった。可愛いのに残念。
お姉ちゃんが日月潭に住んでるから、なにかあったら遠慮なくいってねとLINEを教えてくれる。

ここからの一時間半がまた長かった。
さっきまでの元気が嘘のように萎んでいく。足も激痛。こんなに心理状態に身体が左右されるなんて思わなかった。

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道の先に湖が見えた瞬間は、嬉しさが込み上げる。

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そして黄昏る。

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日没前に無事到着。

こうして長い一日が終わった。

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本日の歩行距離39㎞ トータル279㎞