台湾一周のんべんだらり歩行

台湾を歩いて一周(環島)する日記

【台湾徒歩環島】27日目 三和~都蘭

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早朝、部屋で準備をしていると、ドアの網戸越しに物音を聞き付けた猫が、甘えた声でミァアミァア鳴きながら待機している。
この猫の賢いところは、こんなに甘え上手なのに、客室のドアが開いていても、決して中には入ってこない。




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出発の時も、坂まで見送りに来てくれる。でもちゃんと家の前まで。
因みにオーナー夫婦はここには住んでいない。猫がオーナーに代わり出迎えと見送りをしっかりしてくれる。凄い看板猫だ。




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朝飯を食べていると雨が降ってきてしまった。それほど強い雨ではないがカッパを来て出発。その後は降ったり止んだり、着たり脱いだりを繰り返す。




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台東へ向けて進んでいると、大量の看板が並んだ分岐にぶつかる。
看板で思い出したが、台湾では大きな看板のことを『看板 kan4ban3』と言うらしい。音にそのまま片仮名を当てると『カンバン』になる。僕が知らないだけかも知れないが、大陸中国ではたぶん使わない。これも恐らく日本語の名残りなんだと思う。
そしてこの大量の看板が花東公路、海線、山線の分かれ道になる。台湾東部の主要都市、花蓮と台東を結ぶ花東公路。約170キロ。外側を回る海線のが少し距離が長い。
海線は海岸部を、山線は山間部を花蓮まで真っ直ぐに貫いている長い二本の道。東部は西部と違い平地が少なく、街も少ない。ルートの選択は、ほぼこの二本のどちらかに絞られる。
歩く上での大きな違いは、山線は鉄道が走り、一定の間隔である程度の都市がある。補充や宿泊に便利。あと温泉もある。
海線は街が少なく、少数民族の部落が点在している。右手に太平洋を見て進む。
他の歩きメンバーはみんな山線を選んでいたし、自転車メンバーも僕が聞いた限りは山線を行くと言っていた。
徒歩環島の人に教えてもらった話では、海線は部落から部落までの距離が長く、20キロ~40キロの開きがある。宿泊施設も少ないからテントがいる。つまり一日40キロ歩けて、テントを持参していれば不便ではあるが問題ないということだ。
僕はけっきょく海線を進んだ。この分岐の時点でもまだ迷いはあった。一番の理由は単純に海はもう飽きていた。
なのになぜ海線にしたか。
前日、宿のおばちゃんとこの先のルートについて話をした時、僕が南部からずっと海を見てるからもう飽きたと言うと、おばちゃんはこの先の海は全く違うと言う。この先の海には五色の藍色がある。それが太陽光に照らされて輝く。それはそれは綺麗だと。
おばちゃんの言う『五色の藍色』に惹かれたのかは自分でもわからないが、決めかねているなら、この分岐で出会ったおばちゃんの言葉に任せるかという気になった。



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台東市内の端っこを掠めるように通り過ぎていく。時間があれば台東で二泊くらいしたかったが、先を急ぐ。



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街を抜けるとやたらと自転車に追い抜かれる。そして反対車線にも自転車の集団が。何事かと思っていたら、今日明日の二日間、海線の一部でトライアスロンの大会が開催されるらしい。
この日は一日、自転車と進むことになる。
僕は自転車をやらないし、スポーツを観戦するのが好きじゃない。人がスポーツをしてるのを見てても、面白くないからだ。
ただ真横を進んで行く姿は格好よかった。老若男女かなり幅広い年代が行き交う。みんな必死で、フラフラになりながらもペダルを踏み込む。
夕方五時頃になると、通過する自転車が極端に少なくなる。大半が目的地に到着して、遅れている選手なのだろうか。
自転車が通ると『加油!』と声をかける。反応する人もいれば、それどころじゃない人もいる。
反対車線の坂を上ってくる一台の自転車があった。60歳くらいだろうか、年配の男性が乗っていた。車体を左右に振りながらどうにか坂を上ってくる姿は、今にも最後の力を使い果たしてしまうんじゃないかと、みてるこちらが心配になるくらいだった。
大声で「加油!」と声をかけると、おじさんは一瞬こちらにしんどそうな、でも力強い笑みを見せる。それは僕に頷いたのか、おじさん自身なのかわからないが、一度大きく頷きギアを変え、さらにペダルを強く踏み込みスピードをあげる。
自転車カッコイイ。思わず自転車やりたくやるくらいカッコよかった。僕は道端で一人感動していた、




この時、足の豆が大変なことになっていて痛くて痛くて泣きそうだったが、トライアスロンの人たちを見てると、そんな弱音は吐いてられないというような、まるで自分までアスリートの一員と言わんばかりの心境だった。



そして夕方、都蘭のバックパッカーズに到着。足が痛すぎると思い靴を脱いでビックリ。痛すぎた理由がわかった。



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大変見苦しい写真で申し訳ないが、よく見ると爪が変な位置に付いていて浮き上がっているのがわかると思う。
うちの家系はなぜか足の小指の爪がゴミ屑のように小さいのだか、それが災いしたのか、豆に押し上げられた爪が抜けてしまっていた。
道理で痛いわけだ。



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夕飯は宿の子が勧めてくれたベトナム料理を食べる。ちょっと独特の味が絶妙に美味い。
食べ終わり勘定をしていると、どこかで見た顔がいると思ったら、昨日のスラムダンクの駅で出会ったカップルが。女の子は見覚えがあるが、男の子はフルフェイスのヘルメットをしていたので、素顔を始めてみる。爽やかなイケメンだった。
あんまりデートの邪魔をするのも悪いので、少し話をして退散する。



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コンビニでビールを買い、外の席で飲みながら、このでかい豆をどうしたものかと思案していると、宿の女の子が夕飯を食べにやって来る。
爪が取れてるんだと言うと、病院行った方がいいと言われるがそれは面倒だから嫌だ。
とりあえず宿に帰ったら救急箱と針を貸してもらえることになった。



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帰り道にいた犬。ホラー。



その夜、豆を潰し中の水を抜いた。豆対策は色々あるがいったい何が正解なのかわからない。取り敢えずこれ以上でかくなられたら靴がはけなくなるので、朝晩水を抜いていくことにする。