台湾一周のんべんだらり歩行

台湾を歩いて一周(環島)する日記

【台湾徒歩環島】33日目 花蓮県花連市~花蓮県和平村

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朝五時前に出発。時間が早過ぎるのでドミトリーはやはり気を使う。荷物は前日に纏めてあったので、コソコソとベッドを抜け出し宿を出た。
天気予報はいきなりハズレる。強くはないが雨が降っている。
今日の目的地は44㎞先の和平にしようと決めていた。
僕の歩行速度は平均すると時速4㎞くらいだろうか。単純に40㎞で10時間、休憩を含めると12時間くらいかかる。
長い距離はしんどいので正直気は進まないが、この二日間で少しでも進もうと考えると、多少の無理は仕方ない。
40㎞を超える日は決まって最後の数㎞をランニングすることになることを思い、今日は作戦を考えていた。
交通量も少なく涼しい朝の内に新成まで走れるだけ走る。その後は蘇花公路が始まるので、安全に進む。



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意気込んで朝っぱらから走りだしたが、徐々に雨足が強くなり始め日が昇る頃にはカッパを着てもビタビタに。
新成に着いた時点でこれ以上雨が強くなるようなら、列車に乗るか停滞するかの選択しも考えなければいけないかもしれないと思ったが、取りあえず走り続ける。
市街地を抜けると左手に見える山が競り上がり迫力が増してきた。
そして幸運にも雨が止んでいく。新成の町に着く頃には、曇り空ではあるものの雨は完全に止んでいた。



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走り始めてすぐ朝食は食べていたが、新成で二度目の朝食にする。
この先蘇花公路が始まったら食べるものがあるかわからなかったし、予備の食料を持って荷物を重くしたくはなかったので食べれるだけ食べた。



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蘇花公路は話に聞いていた通り歩きにくい道が多かった。道幅が狭いというか、場所によっては歩くスペースが無く、ダンプやバスが行き違うような場面では、通過するのを待って歩かないといけないこともある。



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断崖絶壁をひたすら進む。確かに山と海の迫力は他にはない絶景ではあるが、なかなか落ち着いて景色を楽しんでる余裕はない。



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落石に関しては、実際自分の目で落ちてくる瞬間を目撃したわけではないけれど、拳大くらいの石が落ちているのは珍しくない。
落石は時期や天候に左右されると思うが、危なくないとは決して言えない。



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この間数えきれないほどのトンネルを通過する。
僕はトンネルが嫌いじゃない。太陽も雨も防いでくれるし落石もない。トンネルの端には決まって歩ける幅の段差だってある。そういう意味では安全だ。自転車の人の方がトンネルは大変なんじゃないだろうか。
しかしこの蘇花公路のトンネルはひと味違う。
写真のように段差がないトンネルが二ヶ所か三ヶ所ある。車が通る度に身を縮めて壁に張り付くように歩かないといけない。トンネルから出たときはザックの右側と右腕はトンネルの壁で擦れて汚れていた。
歩き環島の人には、コロコロ荷物を引いている人がいるが、蘇花公路はどうやって進むのだろう。



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14時を過ぎていた。新成で朝を食べた後、小さな村はあるものの食べ物屋がない。あっても閉まっている。
腹が減ってしかたがなかったが、ないものはどうしようもないので、和平まで我慢だと覚悟を決め歩いていると、後ろからやってきたバイクが止まる。

「あんた歩いているんだろ。さっき通りすぎるの見かけたから追いかけてきたんだよ」

おばちゃんがビニール袋を手渡してくれる。
大喜びしていると熱いから早く食べなと、ビニール袋の中から新聞紙にくるまれた何かを取り出す。
宝箱を目の前にしたように大興奮で包み紙を開けると、かき揚げが。

「テンプラー!テンプラー!おばちゃんこれテンプラでしょ?美味そう過ぎる。こんなにたくさんありがとう!」

「南瓜だよ。さっき作ったばかりだから、今から食べたらいいよ」

僕は南瓜が嫌いなわけではないけれど、甘いものがオカズになるのがどうもしっくりこないステレオタイプの人間なのだが、おばちゃんの南瓜の天ぷらは最高に美味しかった。
余計な味付けをしていない、素朴な味だった。
ビニール袋にはバナナと水まで入っていて、わざわざ追いかけて来てくれたおばちゃんの優しさが、心に染みる。
既に40㎞に届きそうなほど歩いていたが、疲れが吹っ飛びペースが上がる。



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和平には4時過ぎに到着。
距離があったわりにはいいペースで辿り着いた。
安宿もコンビニもあるので、不便はない。



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夕飯の選択肢も多い。
適当に入った弁当屋のおじさんに、東南アジア人に見えると散々からかわれる。確かに黒い。



歩き始めた最初の頃は、30㎞でも足が痛くて限界だったのに、この頃になるといつの間にか体が連日の長距離にも慣れてきていた。人間の体は凄い。