台湾一周のんべんだらり歩行

台湾を歩いて一周(環島)する日記

台湾徒歩環島ルートまとめ

【時計回りか反時計回か問題】

台湾人で環島をやる人のスタート地点は、大体自分の家が多いと思いますが、台湾に住んでいない外国人の環島スタート地点は、ほとんどの人が台北から始めていると思います。
航空機の発着が桃園国際空港の人が大半だと思うので、台北近辺でスタートを切るのが実際一番便利です。
僕のように松山駅の環島0キロポストから開始する人もいれば、最北端の富貴角燈塔へ行って始める人、宿泊してる宿から直接スタートする人、色々あると思います。
環島を始める時に、ルートについては細かく予定を立てないことはありますが、時計回りが反時計回りかは決めないとスタートを切れません。
僕は台北から反時計回りを選びました。
日本出国前に台湾環島についてネットで調べていたのですが、日本語で徒歩環島について書かれているブログが見つけられず、自転車環島のブログを参考に予定を立てていました。
自転車環島では反時計回りが主流なようです。
台湾は日本とは逆に右側通行の国です。自転車環島では、反時計回りを選ぶと海が近いので景色も良く、落石のあるエリアでは、山の斜面から離れているので、安全面でも良いという理由があるそうです。
僕はそれを読んで何にも疑問に思わず反時計回りを選びました。しかし、環島中に出会った徒歩の人が言うには、徒歩の場合は時計回りのが安全だと言っていました。
徒歩は自転車と違い、無理して右側通行する必要がありません。時計回りで左側を歩けば、対向車が自分から見えているので、気付かないこともない。危ないと感じたら端に寄ることができるからだそうです。
これを言われたときは心底納得しました。
実際歩いていると、危険を感じることは毎日のようにありました。歩くスペースがないような道で、後ろから車が来る音を聞く度に振り返り、安全を確認するのも大変です。それを繰り返していることで、危険なエリアを抜けるのに時間がかかること自体、危ないと感じていました。
なので、歩き環島で安全面だけを考えたら、時計回りの方がいいのかもしれません。
ただ僕自身は反時計回りでよかったとは思っています。
一つ目の理由は、前半に大都会の北部、西部を経由して、後半に南部、東部と徐々に田舎になって自然が豊かになっていく、そして最後にまた都会に帰っていく、という過程に起承転結があり、旅に減り張りができたように思います。
それと最初に都会のエリアで歩き旅に慣れた後、後半に何もない東部がやって来るので、対処しやすかったのがあります。もし時計回りで、開始早々いきなり何もない東部が始まったら、けっこう慌てたかもしれません。
二つ目の理由は、出会いです。
僕は西側の方が圧倒的に出会いが多かったです。
西側と東側ではそもそも人口が全く違います。東側は町も少なく、誰にも会わずに黙々と歩いている時間が長かったので、出会う機会が単純に少ないです。
西側でたくさんの人と仲良くなり、東側へ行った時にも、それまでに仲良くなった人が東側に遊びに来てくれたり、花東公路や蘇花公路を歩くときには、知り合った人からアドバイスや情報をもらうことができました。
それ以外には、自転車環島の人と同じ方向へ進んでいるので、自転車の人と出会う機会が多い気もします。自転車の人が途中まで一緒に歩いてくれたり、同じ目的地なら、待ち合わせをして一緒に夕飯を食べに行ったりすることができました。
反時計回りしか経験していないので比べることが難しいですが、安全面を差し引いても、反時計回りでよかったと思っています。



【花東公路海線か山線か問題】

台湾東部、台東から花蓮を南北に結ぶ道を花東公路といいます。内陸の山間部を走る道を山線、太平洋側の海岸線を走る道を海線と言います。距離はほんの少し海線の方が長いそうですが、約170㎞。
ここは環島中の最大の分かれ道になりました。
僕は海と山なら山の方が好きなんですが、海を見て歩くのは気持ちがいいだろうという単純な理由から、開始当初は海線を通る予定でいました。
予定を変更して山線を考え始めたのは、最南端の墾丁を過ぎてからでした。
南部に入ってからは、毎日毎日右手側に海ですでに大分飽きてきていました。もしここで更に海線を選んだら、続く花東公路も海、蘇花公路も海、つまり残りの八割くらいは海沿いを行くことになる。そう思うと流石にげんなりしました。
もう一つの大きな理由は、出会いがなくなるんじゃないかと心配でもありました。
僕が出会った歩き環島の人たちは、利便性から海線を避けて山線を行くとみんな言っていたし、自転車の人もほとんどが山線を行くと言っていたので、環島している人が誰もいないのかもしれない、更には町も少ないんじゃ出会いなんて全然ないかもしれないとは考えました。
けっきょく僕は最後の最後まで迷い、宿のおばちゃんに勧められるがままに海線を選びました。
海線は話に聞いた通りで、実際に町は少なく、補給や宿泊には不便でした。
この区間、徒歩環島には一人も出会いませんでしたし、自転車の人もいるにはいるといった状況でしたがやはり少なかったです。
ただ海線には海線のよさがあると思います。
途中の町はどこも少数民族の人達が暮らしているので、それまでの台湾とはガラッと雰囲気が変わります。台湾なのに別の異国に来たような、海線ならではの楽しさがありました。
花東公路海線は、町から町への距離が長く、20㎞から40㎞間隔が空いているので、テント持参していないと厳しいと台湾の人に何度も脅かされましたが、実際に歩いた感想は、人によるかなと言う感じです。
しっかり目的地を決めて、一日に40㎞くらい歩けるなら、テントはなくても大丈夫だと思います。
どっちのルートがいいかはわかりませんが、たぶんどっちでも楽しいんじゃないかなと思います。



【蘇花公路は列車を使うのか問題】

蘇花公路は、花蓮から蘇澳を結ぶ道です。
ここは道が狭いのにダンプや観光バスの大型車が行き交い、落石も多いことから、台湾の観光協会もこの区間は列車の利用を勧めています。
実際に出会った人は、自転車の人は列車利用が多かったのに反して、徒歩の人は歩くと言う人が大半でした。
ここは天気が崩れる心配があったので、もし雨なら回避しようかとも考えていたんですが、急いで抜ければ雨を避けて通過できそうだったので、歩いて行くことにしました。雨の日は特に落石が多いそうです。
実際に歩いた感想は、噂通りだなと感じました。

「環島中、一番危険で一番綺麗な場所」

これは時計回りで既に蘇花公路を歩いて通過してきた人に聞いた言葉ですが、まさにそんな感じでした。

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眺めは圧倒的に雄大です。
すぐ左手の険峻な山の斜面は、こちらに反りだしているんじゃないかと感じるほどに迫力があり、右手の海側も垂直に切り立った壁が遥か下の海までストンと落ちています。

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ただ残念なのは、常に車を意識しながら、落石の不安も感じてなければいけないので、ゆっくり景色を眺めている余裕がないことです。

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後はトンネルの多さも敬遠される理由かもしれません。
特に自転車の人は、トンネルの端にある段差や側溝の上を行くことができないので、長いトンネルを何度も通過するのは堪えると思います。
歩きは基本的に、トンネル内に安全なスペースがありますが、この蘇花公路にだけは、白線の上を歩かないといけないようなトンネルが二つか三つありました。体の右側が壁に触れるほど端に寄り、それでも左側を掠めるほど近く車が通過していくたびに、肝を冷やす思いがしました。
安全面を考えるとお勧めはできませんが、蘇花公路にしかない眺めがあるのも確かだと思います。