【台湾徒歩環島】4日目 新竹~後龍
六時に起きた、というがずっと起きてた。
サウナ自体は快適で、これならまた利用したいなと思っていたけど、寝室がまるでモンスターが潜むダンジョンのよう。
「グゴゥオー!……グゴゥオー!……」
「ぷすぅ~ん…ぴゅ~……ぷすぅ~ん…ぴゅ~」
色んな場所からひっきりなし、多種多様なイビキ。
極めつけは一人でよくわからない言葉を喋ってる。寝言かと思い覗いてみると、座って闇に向かって喋ってるおじさん。
もう混沌としている。
ほとんど眠れないまま、新竹を後にする。
また街歩きが続く。さすがに似たような景色に飽きてきて退屈していた頃、道の突き当たりに海が見えた。
思わず歩調が早くなる。
海岸沿いの歩道に一台の自転車が停めてあり、いかにも旅をしてそうな男性が写真を撮っている。
声をかけると英語が返ってくる。
ベトナムから自転車環島に来たのだという。
しかもテント持参。
環島をしている人に出会うと、初対面なのに妙な連帯感。
仲間が出来たみたいで嬉しくなる。
歩きと自転車なので、一緒に出発してもすぐに彼は見えなくなる。
初の海岸沿いなので、一人で遊びながら進む。
牡蠣漁を見学。この後大勢が歩きで沖へ牡蠣掘りに向かった。
久々の自撮り
海沿いの道は車が走らないから歩きやすい。
途中唯一の店屋。可愛い二人。
コーラと茶葉蛋を頂く。
仲のいい、そっくりな顔の猫。
休憩所の自販機で、面白いおばちゃん二人組と出会い話しかけられる。
「徒歩?環島?」
「そうです」
「凄いわねぇ!なんでサンダルなの?足痛くないの?」
「えー…かなり痛いです」
「なんで半ズボン。日焼けで皮捲れるよ」
「あ、えーと、なんで…涼しくて気持ちいいから?」
「……日本人?」
「そうです」
「オオー!ニホンジン、コンニチハ」
その後も話は弾む。日本にはもう数えきれないくらい、毎年来てくれているらしい。四月の終わりには富山へ行くんだそうだ。
話はまだまだ盛り上がりそうだけど、そろそろ出発。
おばちゃん達は反対方向。
「加油」と「ガンバッテ~」の交換で別れる。
環島1号線を外れ、おばちゃん達お勧めの海沿いルートへ。
漁港で昼食。好物の牡蠣オムレツ。ブヨブヨの生地が独特。
自転車環島夫婦。後少し、高雄で環島終了。今日が六日目と言っていたから、かなりハイペース。
台湾の飴ちゃんをくれる。年配の人はどこの国でも飴ちゃんをくれるのだろうか。
そのご環島1号線を外れ、宿へ向かうために後龍の市街地へ向かっていると、自転車で追いかけてくる三人組が。
「徒歩環島してる日本人って君?」
なぜかこちらを知ってるようで、いきなり凄くフレンドリー。
連休で里帰りしてる兄妹と、叔父さんらしい。
女の子が色々聞いてきてくれては、「凄いね、凄いね」とやたら関心してくれる。
お兄ちゃんは後ろで静かにニコニコ。
叔父さんはブラブラ。
三人と別れ宿までもうひと頑張り。足の痛みを堪え歩いていると、さっきの三人が前からやってくる。
僕のペットボトルが空なのを見て、なんと飲み物を買って戻ってきてくれたそうだ。
嬉しくて疲れも痛みも吹き飛ぶ。
三人が去った後、リンゴジュースを開け一気に乾いたからだへ流し込む。むせる。
すっぱい…!?
よく読むとリンゴ健康酢と書いてある。
やたらすっぱいけど、嬉しくて美味い。
その日の宿は、昨日予約をしてもらった金龍旅社。
なにも知らなかったけど、金龍は環島ではお馴染みの宿らしい。
ドミトリーはベッド4つ。全員環島だ。
台北から高雄までの男女ペア。
9日で環島するという男の子。
印象的だったのが、男女のカップル。
常に自然体な女の子と、控えめで優しい男の子。女の子が当たり前のように男の子に頼り、男の子が無理なく当たり前のように気配りをする。会話も息があっていて面白い。微笑ましいくらい本当に仲がいいカップルだなと思っていたら、学生時代の同級生らしい。
みんな環島仲間だけに、話も弾む。ただ環島仲間だけに、疲れてみんな睡魔に襲われている。
女の子が高雄来たら連絡してと、LINE交換をする。
そしてみんな早々にベッドに潜り込む。
サウナの寝不足もあり、すぐに記憶が飛ぶ。
四日目歩行距離33キロ トータル141キロ