台湾一周のんべんだらり歩行

台湾を歩いて一周(環島)する日記

【台湾徒歩環島】6日目 大甲~台中

朝五時、寒さで目が覚める。
布団からはみ出している足首から先を、体を丸め布団の中にどうにかし舞い込む。
そんなことを繰り返しているうちに、六時になり布団から出る。
環島が始まり六日目、毎日半袖半ズボンで過ごしていたのが嘘のように、突然寒さが襲ってきた。
準備を終え長袖を来て宿を出る。宿のおじさんとおばさんはダウンを着ている。

「今日はそんな服装じゃ寒いよ。上着を着て長ズボン履かないと」

忠告してもらうも、台湾の四月がこんなに寒くなるとは思っていなかったので、防寒着はたいして持ってきていなかった。
歩きだしてすぐ体が震えてくる。寒さに耐えきれず廟に逃げ込み、とりあえず持っている服をすべて着込む。だいぶましにはなったが、それでも体の震えは止まらない。

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湯気に誘われて思わず買った朝御飯の小籠包。
屋台でも肉汁のスープがたっぷり美味しい。

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朝七時前。爆竹と大音量の音楽を垂れ流しお祭りの行進がやってくる。

今日は台中市街へ向かうので、歩き出してすぐに環島1号線のルートを外れる。
予想通り環島している仲間に全く出会わない。景色も見慣れた町並みが続く。
ただでさえ冷たい風が吹き付けていたのに、途中で雨が降り始める。小雨で済んでいるのがまだ救いだけれど、体温がどんどん奪われていく。

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今回初のカッパを着用。
風が強いので、すぐに裾がぺろんと捲れ上がる。

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環島じゃないけど自転車大会でもやってるのか、集団が追い越していく。
寒さと孤独に嫌気がさすも、歩かないと着かないので歩くしかない。

途中大きめのアウトドアショップを見つけ、ショーウィンドウのマネキンがmont-bellを着ている。思わず寄り道。

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アウトドアショップのお兄さん。登山するらしい。仲間意識が芽生える。台湾の山道具について教えてもらう。

歩きにくいし、ほとんど出会いもない。ただただ寒さと足の痛みを堪えて前に進む。始まってから一番過酷な行程になった。

台中の宿に着いたのが五時。
日課になりつつある足裏マッサージをして宿を出る。



今から三、四年前、屋久島を一人でトレッキングしていたら、同じようにガイドをつけるわけでも、ツアーでもなく歩いてる年配の夫婦がいた。
交互に写真を撮っていたので「写真撮りましょうか?」と話しかけると、台湾人の夫婦だった。
けっきょく下山まで付かず離れずでなんとなく一緒に歩き、LINEを交換して別れた。
台中に着く二時間ほど前、一緒に夕飯を食べようと連絡があったので、待ち合わせの場所のレストランへ向かう。
レストランが見えると二人は店の前でもう待っていてくれた。
思わず駆け寄りハグ。懐かしい。全然変わってない。

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お母さんの手には紙袋。中にはシナモンロールが三つ。

「覚えてる? あの時約束したのよ。次台湾に来たときには、手作りのシナモンロールを食べさせてあげるって」

屋久島で会った時、お母さんの趣味がパン作りという話になり、約束したのは覚えていた。
約束を果たすため、二人で朝からパンを作ってきてくれたらしい。
今日は朝から辛いばっかりで、なんにもいいことないと思っていたけど、こんなにも嬉しいことが待っていた。
会えただけでも十分嬉しいのに。

レストランは台中で有名な店らしく、大行列ができている。地球の歩き方を持った日本人もいる。
六時に予約してくれたけど、手違いで七時になったらしい。
席が空くまでお喋りをして待つ。

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写真撮影もする。みんな腹減ってるので、すぐ頼めるようにメニューも決める。

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料理が届き、写真撮るのも忘れてがっついてしまう。
ちゃんとしたレストランに来ることがまずないので、始めてみる食べ物が多い。なんだか高級な味がする。

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たくさんの料理。食べきれなかった分はお持ち帰りで明日の朝食に。

会うのは二度目、数年振りなのに、気を使うこともなく自然と楽しめた。

パンに夕飯、会いに来てくれたお礼を言い、二人とはバス停でさよならをする。
終わってみたら最高の一日になっていた。

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六日目歩行距離31㎞ トータル212㎞