台湾一周のんべんだらり歩行

台湾を歩いて一周(環島)する日記

【台湾徒歩環島】35日目 宜蘭県東澳~宜蘭県羅東

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遠くから見た東澳と海岸。小さな村と文句を言ってたけど、息を飲むほどの綺麗な海が広がる。
心配していた天気予報はハズレ、見事に晴天が広がる。



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久々の徒歩環島の人に出会う。
金崙で女の子に会って以来な気だろうか。
花東公路海線は徒歩の人に敬遠されているし、蘇花公路も飛ばす人が多いので、なかなか出会わなかった。
僕は彼で六人目の徒歩環島の人との出会いになるが、彼は二十数日目で初めてだと言う。
以前会ったおじさんは、すでに十人以上と言っていたし、タイミング次第ではこんなにも差がでるものか。
彼はテント持参でかなり倹約をしているらしく、媽祖廟で無料で飯を配布している情報などを教えてくれる。



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南方澳の岬が見えてくる。
ここまでくれば蘇澳も目と鼻の先。心配していた蘇花公路を無事に通過できたことに胸を撫で下ろす。



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蘇澳に到着。
久々の視界一杯の賑やかさ、こちらの気分も盛り上がる。
蘇澳には世界的にも珍しい炭酸の冷泉があるので、観光客が多いんだろうか。
大好きな焼き餃子の店でお腹を満たし、浮かれていたからかザックを忘れて店を出るという間抜けを演じる。
そのまま百メートルくらい歩いたところで、餃子屋のおばちゃんが追いかけてきてくれた。

「リュックを忘れるなんて思わないから、吃驚したよ!」

「自分でも思わなかった!」

二人で大笑いする。
自然の大絶景もいいが、やっぱり街の喧騒も大好きだ。



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蘇澳から羅東へ向かう途中、祭りに鉢合わせする。
土日はしょっちゅう騒いでるか、今日のはなかなか規模が大きい。
台湾の人は、ほんとにお祭り騒ぎが大好きだ。



羅東の街に着き、この先の予定を確認する。
四十日以内に台北に戻り環島を終えないといけない。東部に入りかなり飛ばして来たが、だいぶ目処がついてきた。
明日は礁溪までの20㎞ほど歩き、ゆっくりすることゆした。礁溪は有名な温泉地でもある。

【台湾徒歩環島】34日目 花蓮県和平村~宜蘭県東澳

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和平を出発して少し歩いたところで、後ろから自転車が次々に追い越して行った。
同じ環島Tシャツを着ていたので、たぶんツアーの人達だろうと思い、その遠ざかっていく背中に「加油!」と声援を送る。
たくさんの自転車が通り過ぎたその最後方から、一台の車が追走していく。
そのまま走り去ると思っていたら、僕の横で停止しサイドウィンドウが下がる。

「徒歩環島しているのか?」

運転席のおじさんに話しかけられる。
なんかスポーティーなおじさんだと思っていたら、自転車環島ツアーのガイドの方だと言う。
おじさんも去年徒歩環島をして、25日間というハイペースで歩き終えたと言う。
環島先輩だとわかり色々アドバイスをもらう。
25日で1号線を一周するには、毎日40㎞近く歩かなければならないことになる。
おじさんはテント等は持たずに荷物を削れるだけ削り、ウルトラライト装備で歩いたそうだ。
そしておじさんが言うには、歩き環島に関して言えば、半時計回りより時計回りの方が、自分からも対向車が確認できるので安全だと言っていた。
なるほどなあと思ったが、僕自信は逆時計回りでよかったとは思う。



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おじさんは自転車ツアーのガイドなので、僕とのんびり話し込むわけにはいかない。
先へ行ってしまったみんなを追いかけるべく、また車に乗り込む。
去り際に、この先の道も危険だからと、自分が着用している反射板の付いた蛍光タスキをくれる。
なんだかドラクエで新しい鎧を手に入れたように心強い。例えるなら、先輩冒険者から譲り受けた『光の鎧』みたいな感じだ。



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今日も危険箇所では落石の痕跡が。
こんな大きさの石が頭上から落ちてきたらと思うとゾッとする。



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程なくして前方を歩く人影が。特に荷物を持ってるわけでもなく、ラフな服装から環島ではないのが見てとれる。
こんな何もない道を一般の人が歩いてるのを不思議に感じながら、追い抜く時に挨拶を交わす。それをきっかけに会話が始まり、なんとなく一緒に歩いていた。
おじさんはトンネルを掘ってる土方の人で、この近所の宿舎に住んでいると言う。土日の2連休を利用して、この先の漢本駅から自宅の新成に帰るのだそうだ。

「漢本駅の隣の店でビール買って、一緒に乾杯しようぜ。俺が奢るから」

おじさんはいつも列車を待ってる間、一人で飲んでるらしい。



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そして朝っぱらから、駅の駐車場の日陰に座り乾杯する。
おじさんがビンロウをクチャクチャ噛んでいるのを見て、食べてみたいと言うと一つくれる。
これが不味い。少し噛んでもう不味くて食べていられず、思わず吐き出す。
おじさんは笑いながら、これは慣れないと美味く感じないからなと言う。そんなおじさんは十三歳から食べているらしい。早過ぎないか。
けっきょくタバコももらい、ビールも二本飲み、健康に悪そうな物ばかり摂取してしまった。



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電車の時間が近づいてきたので、おじさんにお礼を言って別れる。
朝から楽しい出会いがあった。
しかしこの後頭痛に悩まされる。



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絶景の写真を撮りながら坂を上っていると、絶景の写真を撮りながら坂を下ってくる自転車の男性が。

「環島ですか?」

中国語で声をかけると通じない。聞けば韓国から自転車環島に来ていると言う。
僕が日本人と知ると、片言の日本語で話しかけてくれる。
台湾一周を終えたら、そのまま日本を自転車旅行すると言っていたのでLINE交換する。



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二人で話しているところに、今度はローラーブレードでやって来る人が。ローラーブレードは初めて出会う。その上、彼は中国から環島に来たと言う。
台湾で歩きの日本人、自転車の韓国人、ローラーブレードの中国人が揃い盛り上がる。
そしてまたそれぞれの速度で、それぞれの道を進み初める。



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南澳の入り口に野犬の群れが散歩している。
この犬たちは大人しかったからいいが、群で威嚇してくる犬は本当に怖い。
南澳は蘇花公路の中では一番大きな街だった。ただ今日の目的地は東澳。本当に大きな街を素通りしてしまう。



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東澳は南澳と比較してかなり小さな規模だったが、とりあえずコンビニと宿はある。
この日はけっきょく一日中体調が悪く、宿に着いて早目に就寝。

【台湾徒歩環島】33日目 花蓮県花連市~花蓮県和平村

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朝五時前に出発。時間が早過ぎるのでドミトリーはやはり気を使う。荷物は前日に纏めてあったので、コソコソとベッドを抜け出し宿を出た。
天気予報はいきなりハズレる。強くはないが雨が降っている。
今日の目的地は44㎞先の和平にしようと決めていた。
僕の歩行速度は平均すると時速4㎞くらいだろうか。単純に40㎞で10時間、休憩を含めると12時間くらいかかる。
長い距離はしんどいので正直気は進まないが、この二日間で少しでも進もうと考えると、多少の無理は仕方ない。
40㎞を超える日は決まって最後の数㎞をランニングすることになることを思い、今日は作戦を考えていた。
交通量も少なく涼しい朝の内に新成まで走れるだけ走る。その後は蘇花公路が始まるので、安全に進む。



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意気込んで朝っぱらから走りだしたが、徐々に雨足が強くなり始め日が昇る頃にはカッパを着てもビタビタに。
新成に着いた時点でこれ以上雨が強くなるようなら、列車に乗るか停滞するかの選択しも考えなければいけないかもしれないと思ったが、取りあえず走り続ける。
市街地を抜けると左手に見える山が競り上がり迫力が増してきた。
そして幸運にも雨が止んでいく。新成の町に着く頃には、曇り空ではあるものの雨は完全に止んでいた。



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走り始めてすぐ朝食は食べていたが、新成で二度目の朝食にする。
この先蘇花公路が始まったら食べるものがあるかわからなかったし、予備の食料を持って荷物を重くしたくはなかったので食べれるだけ食べた。



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蘇花公路は話に聞いていた通り歩きにくい道が多かった。道幅が狭いというか、場所によっては歩くスペースが無く、ダンプやバスが行き違うような場面では、通過するのを待って歩かないといけないこともある。



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断崖絶壁をひたすら進む。確かに山と海の迫力は他にはない絶景ではあるが、なかなか落ち着いて景色を楽しんでる余裕はない。



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落石に関しては、実際自分の目で落ちてくる瞬間を目撃したわけではないけれど、拳大くらいの石が落ちているのは珍しくない。
落石は時期や天候に左右されると思うが、危なくないとは決して言えない。



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この間数えきれないほどのトンネルを通過する。
僕はトンネルが嫌いじゃない。太陽も雨も防いでくれるし落石もない。トンネルの端には決まって歩ける幅の段差だってある。そういう意味では安全だ。自転車の人の方がトンネルは大変なんじゃないだろうか。
しかしこの蘇花公路のトンネルはひと味違う。
写真のように段差がないトンネルが二ヶ所か三ヶ所ある。車が通る度に身を縮めて壁に張り付くように歩かないといけない。トンネルから出たときはザックの右側と右腕はトンネルの壁で擦れて汚れていた。
歩き環島の人には、コロコロ荷物を引いている人がいるが、蘇花公路はどうやって進むのだろう。



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14時を過ぎていた。新成で朝を食べた後、小さな村はあるものの食べ物屋がない。あっても閉まっている。
腹が減ってしかたがなかったが、ないものはどうしようもないので、和平まで我慢だと覚悟を決め歩いていると、後ろからやってきたバイクが止まる。

「あんた歩いているんだろ。さっき通りすぎるの見かけたから追いかけてきたんだよ」

おばちゃんがビニール袋を手渡してくれる。
大喜びしていると熱いから早く食べなと、ビニール袋の中から新聞紙にくるまれた何かを取り出す。
宝箱を目の前にしたように大興奮で包み紙を開けると、かき揚げが。

「テンプラー!テンプラー!おばちゃんこれテンプラでしょ?美味そう過ぎる。こんなにたくさんありがとう!」

「南瓜だよ。さっき作ったばかりだから、今から食べたらいいよ」

僕は南瓜が嫌いなわけではないけれど、甘いものがオカズになるのがどうもしっくりこないステレオタイプの人間なのだが、おばちゃんの南瓜の天ぷらは最高に美味しかった。
余計な味付けをしていない、素朴な味だった。
ビニール袋にはバナナと水まで入っていて、わざわざ追いかけて来てくれたおばちゃんの優しさが、心に染みる。
既に40㎞に届きそうなほど歩いていたが、疲れが吹っ飛びペースが上がる。



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和平には4時過ぎに到着。
距離があったわりにはいいペースで辿り着いた。
安宿もコンビニもあるので、不便はない。



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夕飯の選択肢も多い。
適当に入った弁当屋のおじさんに、東南アジア人に見えると散々からかわれる。確かに黒い。



歩き始めた最初の頃は、30㎞でも足が痛くて限界だったのに、この頃になるといつの間にか体が連日の長距離にも慣れてきていた。人間の体は凄い。

【台湾徒歩環島】32日目 花蓮県水璉村~花蓮県花連市

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学校野宿は意外と快適で、しっかりと睡眠をとることができた。
やはり蚊が少なかったのが大きい。
ただ学校なので、迷惑にならないように日の出前に撤収準備を始め、薄暗い中を歩き始める。



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今日は花蓮市を目指す。花東公路も遂に終わりだ。
水璉村から花蓮市までの道程は、その途中ほぼ何もない。
曇り空に強風の中、朝食も食べていないので、空腹を我慢して必死に足を出す。
何もない道は誰に会うこともなく単調に続く。



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花連市が目前に迫る頃、橋の向こうに建物が見え始める。海岸部から街への境界線のよう。
頭の中は食べ物でいっぱい。久々の大きな街に期待も高まる。
橋を渡り始めた時、バイクが止まりおじさんが乗せていこうかと言ってくれる。しかも日本語が上手。
優しい言葉遣いのとても親切なおじさんで、橋の途中で世間話が始まる。
歩き環島をしているのでバイクには乗れないと説明はしたけれど、僕が朝御飯を食べていないことを知ると、ご飯連れていってあげるから乗っていきなさい、少しくらいバイクに乗っても大丈夫、と何度断ってもなかなか熱心に誘ってくれる。
さっきから腹が鳴っていたので、誘惑に負けそうになるもどうにか断腸の思いで断る。



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橋を渡った先にすぐ食べ物屋があると思いきや、トラックが行き交う大きな通りで、ビンロウ屋しか見当たらない。
ショックを受け意気消沈していたら、ビンロウ屋に食堂が併設されている店を見つけ迷わず飛び込む。
まだ昼前で営業時間外だったけれど、聞けば作ってくれると言うのでガッツリ注文する。
何も食べず五時頃から活動していたので、最高に美味しい。



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その後は街の中心へと向けて歩いていく。歩くほどに街は繁華になっていく。
コンビニに入ったとき、自分の余りのみすぼらしさに驚き思わず写真を撮る。
腹が満たされると、今度はシャワーを浴びたい欲求が湧いてくる。人間の欲は切りがない。



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花蓮バックパッカーズに着くと、すぐにシャワーと洗濯をする。
人心地付いたところで街へ出て、また欲望の赴くままに食べる食べる。
茶店では明日からの予定を確認。
花蓮から蘇澳は、落石と大型車両が多い上、歩きや自転車が通る道幅がないと言われている。環島している人は、この区間だけは列車に乗りパスする人が多い。
天気予報を見ると、明日明後日は大丈夫だが三日後から崩れると出ていた。
雨は落石も多く視界も悪いので避けたい。
二日間の間に行けるところまで目一杯進むことにして、五時には出発することに。
寝不足が続いていたこともあり、20時頃には眠っていた。

【台湾徒歩環島】31日目 花蓮県豊浜郷~花蓮県水璉村

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またほとんど眠れないまま朝を迎えてしまった。
台湾の蚊の余りの手強さに呆然自失。
虫除けは水でも入ってるんじゃないかと思うほど、効果を発揮しなかった。
暗闇の中の蚊の猛攻、スプレーの内容量の半分以上を消費し防戦した。
肌の露出している部分には、ヒタヒタのビショビショになるくらいスプレーを吹きかけたが、その液体でテラテラと光輝く腕に、すぐさま蚊が何事もないかのように着陸した瞬間、自分の中のすべての戦意は消失した。
そして今日もまたボコボコになり、朝を迎える。



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どうせジッとしていても蚊の餌食になるだけなので、さっさとテントを撤収し、五時前には歩き出していた。
豐濱まで十四キロ、そこまで行けばコンビニがあるので、取りあえずの目標を豐濱村に定める。
食料も水も尽きかけている。暑さが酷くなる前に、そこまでは頑張らなければと自分に言い聞かせる。
早朝の港町は思いの外綺麗だ。時が止まったように静かで、でも時折犬が人間のいない道路を我が物顔で闊歩する。
こんなマジックアワーに街を歩けたので、蚊のやつを許してやるかという気にもなってくる。



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朝日が登り始めると、安心感より暑さに対する恐怖のが込み上げてくる。
台湾は冬でも暑いから、もっと涼しい時期に歩けばいいのにとたくさん忠告を受けたけど、本当にその通りかもしれない。



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道路脇の畑に、ところどころ向日葵が植えられている。まだ満開ではない。
たまに観光客が車から下りて撮影をしている姿を見かける。



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歩き出して四時間後、ようやく豐濱村に到着。
小ぢんまりとしているが最低限のものは一通り揃いそうな、川沿いにあるのんびりしたくなるような村だった。
さっそく待ちに待ったコンビニに駆け込む。冷房が煮えたぎった体に染み渡る。
基本的にコンビニよりその辺にある普通の店のが好きだが、この冷房の誘惑には勝てない。
空腹を思う存分に満たし、冷えた炭酸を流し込む。至福の時。



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一度コンビニでだらけると、出発する気が失せてくる。
名残惜しい気持ちをどうにか振り切って、またあの単調な灼熱の道へ帰っていく。
自分のこれから歩く道が、全く見えないのと、どこまでも見えているのは、どっちが辛いだろう。



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次に新社村を通る。
村の入り口に噶瑪蘭文化展示中心という小さな建物があり、水が貰えないかと建物に入ると、人の良さそうなお兄さんが一人。
ここは少数民族の中でも少数の、クバラン族が暮らす村だと言う。
民芸品の展示や文化の紹介がされていて、お兄さんにクバラン族についての講義を一通りしてもらう。
僕はこういう話が大好きなので、なかなか熱心な受講生だったと思う。
クバラン族にはクバラン族の言葉があるらしいが、喋れる人はどんどん少なくなってきているらしい。
お兄さん自身クバラン族ではあるが、クバラン族語は少ししか話せないと言っていた。
どんな音がするのか気になったので、お兄さんに少し話して聞かせてとねだるが、恥ずかしいのか話してくれない。



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お兄さんと別れた後、小さな商店の冷蔵庫の中に冷えたジュースがあるのを見つけ足が自動的にそちらへ向かう。
暑いので店内の椅子に座りジュースを飲んでいると、お爺さんとお婆さんが何か話している。全く聞き取れない。

「今話してるのって、噶瑪蘭語!?」

もしやと思い、思わず大声で聞いてしまった。
お爺さんはそうだそうだと肯定すると、「日本人か?」と日本語で聞いてくる。
お爺さんが五歳のときに日本が敗戦し、日本語教育は受けていないが、両親が日本語を話しているのを聞いて育ったから、少し話せると言う。
終戦前の今の日本人が使わない日本語がある。
日本統治時代を肯定する気はないし、絶対にあってはいけないことだと思うけれど、どうしてもその自分の知らない時代の日本語に、不思議な懐かしさと親しみを感じてしまう。
陽気に日本語を使ってくれるお爺さんを見ていると、ありがたい気持ちが込み上げてくる。



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悩んだ末に海線にしたけれど、海線でよかった。
確かに似たような景色は続くし、不便ではあるけれど、北や西や南とは全然違う台湾が、海線でしか出会えない台湾がある。
山線歩いてないので、偉そうなことは言えないが。



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昼過ぎ、飛び魚とビールでエネルギー補給。
今は飛び魚が旬でこの辺りではよく獲れるらしい。
伊勢海老も特産だが、今日は獲れなかったから無いのよと店の女性。



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今日の行程は然り気無く四十キロある。
しかも目指す水璉までは山越えをしなければならず、アップダウンの少ない海線にあって、かなりの標高差を登り降りしなければならない。
峠道には基本的になにもないことが多いので、下りきるまでひたすらあるかなければならないことがままある。
油断はできない。
汗だくになりながら坂を上っていると、自転車の人に追い抜かれる。

加油ー!」

いつものように声をかけると、

「あれ、日本人?」

と流暢な日本語が返ってくる。
なんだ日本の人だったのかと思い、こちらも日本語で話しかけると、日本人と見分けがつかない関西弁で、日本に住んでるけど中国人だと言う。
大学の時に留学して以来、すでに人生の半分くらい日本で過ごしていると言うけれど、あまりの発音の上手さに日本人と話しているように錯覚してしまう。
このおじさんは自慢する素振りもなく、当たり前かのように6日で環島すると言っているが、とんでもなくタフだ。
一日平均180キロ走っていて、今日で五日目と話しているが、これまであった誰よりもハイペースだ。
坂を上りきるまで二人で話をしながら歩いていたけれど、凄い人の臭いがプンプンする。
かなりのインテリでもあり、趣味だという登山と自転車は趣味の域を軽く越えている。
峠を上りきったところで自転車に股がり、下り坂にこぎ出して行く。
面白い話を聞かせてもらったうえに、最後にポカリスエットまで貰ってしまった。



水璉は峠を下りきったところにある。
この辺りでは比較的大きな街だと聞いていたので、期待に胸膨らませ坂を駆け下りる。
昨日は野宿で風呂に入っていない。お湯シャワーでサッパリしたかった。



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五時前に水璉に着くも、村を一目見た瞬間から嫌な予感が頭を駆け巡る。
村の面積は確かに広いのに、寂れている。
なんというか、ゴーストタウンに迷い混んだような。
メイン通りを歩いても宿は愚か店すらない。
裏通りも回るが当然のように何もなく、お年寄りばかりが目に止まる。
歩き回っているうちに日没が近づいて来てしまった。
この先はしばらく何もない道が続く。
どうするか悩んだ挙げ句、小学校へ行ってみることにする。
時間が遅いからか、小学校にはすでに誰もいなかった。

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勝手にテントを張るのは気が引けたが、なんの当てもない以上他に選択肢がない。
暗闇の中遊具の片隅に設営する。
幸いなことに食べ物は以前もらったカップラーメンが鞄に入っていたし、廊下に給湯器が設置されていたので、どうにか夕飯にはありつくことができた。
二日間シャワーを浴びていないので、タオルでしっかり体を拭き寝袋に入る。
明日は必ず花連市内に入ると心に決め眠りに着く。

【台湾徒歩環島】30日目 花蓮県竹湖村~花蓮県豊浜郷

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みんなが寝静まるなか、六時前に出発。
清々しい朝。凛とした空気が気持ちいい。
昨晩の余韻がまだ頭に残っているのか、夏休みのラジオ体操のメロディーが頭の中でリピートする。

『新しい朝が来たキボウの朝だ』



まわりがまだ寝ている時に、同じく活動している少数派の連帯感が生まれるのか、釣り人と親しみを込めて挨拶を交わし少し話をする。
涼しいので調子よく歩いていたら、一台の車がクラクションを鳴らし後ろから追い付いてくる。
窓を開け「加油!」と叫ぶ声が。みんながこちらに手を振っている。
同室の男の子達だった。
四人も早起きすると言っていたが、もう追い付かれ、そして遠ざかっていく。



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そしてすぐ後に、今度は同じ宿だった自転車環島の男の子が追い付いてくる。
彼とはこの場ではライン交換をして別れたのだけれど、この後の長濱の中心地で蛋餅と豆乳を買って待っていてくれる。ここの蛋餅は皮から手作りで美味しいからと。
彼はすでに食べ終えていたので、先を急ぐからと出発していった。
僕はセブンイレブンで昼の食料を買い込み、美味しいツナ蛋餅を食べる。



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長濱の街も意外と賑やかで驚く。
規模は小さいけれど、人が溢れ活気がある。
なんだかんだ街は楽しい。台湾の田舎町は人の生活がすぐ側にあり、歩きながら垣間見ることができる。



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薬局で足の豆が化膿しないように消毒液を買い、街を散策しながら歩いていると(とは言っても繁華な通りは一本しかないが)、果物屋のおじさんに呼び止められる。
おじさんは僕が徒歩環島と知ると、台に並んだバナナの中から一番美味しそうな一房を取り、台湾のバナナは美味しいよ、持っていきなと手渡してくれる。本当に美味しそうだ。
そんなにたくさんお金払いますよと財布を出すと、いいからいいからとニコニコして受け取らない。
おじさんの笑顔に甘え、お礼をいい美味しそうなバナナを大喜びでザックに詰め込む。



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町外れに差し掛かるところ、家の中から声がかかる。

「徒歩環島しているのか?」

おじさんが携帯を片手に家から出て、携帯に向かい頻りに話しかけている。
テレビ電話でもしているのかと思っていたら、Facebookライブ配信していると言う。
こんな長閑な田舎でおじさんがライブ配信、なんか変な感じがするが、そんな時代になったのかと年寄りみたいな感想を抱く。
配信おじさんに招かれ、お茶とミカンを頂きながらなぜか動画配信に参加することになる。
何を話していいかわからないので、早々に退散したいのだかなかなか帰してもらえない。
おじさんの下ネタに付き合わされる。おじさん二人の下ネタを、画面の向こうで何人かのおじさんが見ている、ある意味シュールだがこれの何が楽しいのか。



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どうにかおじさんをかわし出発。三十分くらいはいた気がする。だいぶ出遅れてしまった。
狭い平地を利用し田んぼが続く。その向こうには青い海。
景色は爽やかだけれど影がない。
ペットボトルの水がまるでぬるま湯のようになり、喉は乾いているのに飲む気が起きない。が、熱中症を考えると飲まないわけにはいかない。無理矢理ぬるま湯を流し込む。



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昼前に八仙洞に着く。ここには食べ物屋やお土産屋が並び、高そうだがレストランもインフォメーションに併設されていた。
たくさんの観光バスが駐車され、大量の人を吐き出してはまた飲み込んでいく。
なかなか有名な観光地なのか。
花東公路から八仙洞に延びる道は、まるで四国遍路の足摺岬から御厨人窟のような感じがした。
洞窟はいくつもあるらしいが、あまりゆっくりしている時間はない。
インフォメーションのおばちゃんに相談すると、荷物預かっててあげるから、一つ目と二つ目だけ行ってきたらと薦められるので、ササッとお茶漬けを掻き込むように見て回る。



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涼しくて雨も凌げる。遥か昔し原始人が生活をしている姿を想像すると、なかなか悪くない住居な気がする。
そんな楽しい想像も早々に打ち切って、インフォメーションに帰りパンとバナナで昼食にする。
その間も中国人観光客がひっきりなしにやってくる。
総統が蔡英文になり、中国大陸からの観光客が激減したと聞いたけれど、それでもこんなにたくさんの中国人を見かけるということは、馬英九の時はどれほどのものだったのか。
この後北回帰線も通りかかるが、そこにも大陸からの観光客が溢れていた。



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静浦村。アミ族の人々が暮らす村らしいが、建物がオレンジと白で統一されていて可愛い。
村を通りすぎていくと、村人の好奇の目が集まってくる。
歩いていると察した子供達が、声援を送ってくれる。
兄弟だろうか、大中小と並んだ三人の男の子が親指を立てて見送ってくれるが、その中の一番小さな子供だけ、親指を逆さにしている。

「なんで下なんだ!? 上、上!」

と怒ったフリをすると、キャッキャと大喜びしていたが、兄二人に失礼だろと怒られていた。
これは勝手な思い込みなのかもしれないが、田舎の子供は純朴そうに見えてしまう。
真っ黒に日焼けした顔中の笑顔が可愛い。



静浦村を抜けるころ、そろそろ今日の寝る場所を探さないといけないなと思っていたら、ちょうどインフォメーションがある。
小さな村の割りに立派なインフォメーションで、中にはカフェもあったので、スプライトを注文し情報収集することに。
インフォメーションの女の子に話しかけると、今朝あなたが歩いてるのバスから見かけたと言われる。
この子がとても親切で、安い宿かテントを張れる場所を探していると言うと、パソコンで親身になって調べてくれるが、如何せん周囲に宿泊施設は一軒のみで高い、何件か電話してくれたキャンプ場もやっていないか高すぎる。
台湾の正規のキャンプ場は、1000元くらいの料金もざらにあり、ひとりで利用すると宿より高いことがよくある。
けっきょくこの先にある学校でテントを張ったらいいと言うことになり歩き出す。



それほど遠くない小学校に着くと、正門の先でちょうど先生が二人立ち話をしていた。
五月一日は祝日なので、誰もいないかもしれないとインフォメーションの子と話していたが、なにか行事でもあるのか子供達も構内に残っている。
先生に事情を説明してる間、壁から顔だけだした子供達がこちらを覗き込み、『外人が来た!』といった反応で、入れ替わり立ち替わりチラチラと様子を見にやってくる。まるで外人になった気がしてくる。
先生が上司にテント泊していいかを聞きに行って帰って来る。
台湾の学校では、旅人のテント泊にはかなり寛大だという話を何人かに聞いていたので、断られないと高を括っていたのが間違いだった。見事に断られてしまった。
今日は遅くまで学校を使う予定があるのでダメということだったが、ダメなものは仕方ないので再び歩き出す。



当てもなく歩き、時間的に焦り始めた頃、石梯坪に辿り着く。
ここにもキャンプ場があるが、静浦のインフォメーションの子が凄く高いと言っていたので、海岸でテント泊できる場所はないかとウロウロ徘徊。

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無事設営。
地面は砂利混じりの砂浜なので、硬くはない。
夕飯と明日の朝はおじさんのバナナがある。水もギリギリ足りそう。
問題は蚊だけだ。虫除けスプレーを枕元に置き、戦闘準備を整え寝袋に潜り込む。
今日の夜の海は、昨日とはうって変わりうら寂しい。

【台湾徒歩環島】29日目 成功鎮都歴部落~長濱郷竹湖村

台湾でテントを張るのは初めてなので知らなかったが、蚊が予想以上に多すぎた。日本では考えられない数がテント内に侵入してくる。
ダブルウォールのテントなら二層になっているので、換気をしながらも蚊の侵入も防げるが、僕が持っていったのはシェルターなので一層、換気か蚊の二つに一つ。
僕は入り口を完全に閉じ、換気はベンチレーターのみにし、暑さを耐えることにしたわけだが、ベンチレーターから容赦なく侵入してくる。
暗闇の中、煩わしい蚊の羽音にヘッドライトを付けると、元気に飛び回る蚊の影が浮かび上がる。
その数ざっと十。十は盛りすぎだろうと言われそうだが、本当にいる。確かにいる。身体中ボコボコで痒くて仕方ない。
夜中に何度も起きては蚊との熾烈な格闘をなんラウンドも繰り返し、そのまま朝を迎えた。
完全に寝不足で、寝る前より衰弱して一日が始まった。
朝五時前には活動を開始し、テントの撤収にかかる。
荷造りを終え宿に入り朝食のパンを食べていると、ウェイチンとオーナーの二人も起きてリビングにやってくる。
ウェイチンは準備でき次第追い付いてくると言っているので、僕はオーナーにお礼を言い先に出発することに。



早起きして出発するのは、時速四キロの歩みには単純に時間が必要なこともあるが、朝だけはまだ涼しいのも救いだ。
この日も暑い一日だった。
四月の終わり。日本ならまだまだ肌寒い日もあるのに、台湾はすでに日本の真夏と変わらない。
この頃になると肌はすでに真っ黒。東南アジアの人、もしくは国籍不明の人に見られる。
花東公路海線のキツイところの一つは、影が少ないこともあるだろう。
建物もなく道沿いに日を遮るほどの大きな木がほとんどないので、景色はどこまでも開けている。照りつける太陽は容赦ない。
歩き始めて二時間程経った頃、和平里で、ウェイチンからすで追い付いてきていると連絡があるけれど、お互いに姿が見えない。
どうやらウェイチンは海岸ギリギリを走るサイクリングロードを進んで、すでに僕を追い越して行ってしまったみたいだった。
その辺をブラブラしながら待っていると言ってくれるので、休憩を挟まずに先を急ぐ。
幸いそれほど離されていなかったらしく、程なくして追い付くことができた。
また二人で並走して歩く。
ウェイチンは最近環島に興味を持ったらしく、色々な人のブログを読んだり、動画を見たりして刺激を受けているらしい。

「有些事現在不做, 一輩子都不會做了」

(今やらなければ、一生できないことがある)

これは台湾自転車環島の火付け役となった映画『練習曲』のキャッチコピーだが、僕はこの映画を見たことがない。
ウェイチンも見たことがないらしいが、数年前台湾はこの言葉に触発された人たちで、自転車環島ブームが沸き起こったと以前話していた。
その話をした時、僕らはその言葉に対して「そんなことないと思うけどね」と笑い飛ばしていた。
けれどウェイチンは、今もし本当に自分が徒歩での環島を実現しようと考えた時、今現在の現実的なハードルの高さ、かといって定年退職した後にと思っても、年老いた時には体力的にも厳しいことを考えていると、『今やらなければ、一生できないことがある』と言う言葉は、多くの事柄には当てはまらないけれど、それでもそんな気持ちで行動して、困難を乗り越えてようやくできることもあるんじゃないかと、真面目に話していた。
だから僕の環島に、たくさんの楽しい体験と、たくさんの綺麗な思い出が残って欲しいと、言ってくれた。
そんなふうに言ってもらえること自体が、僕にとっては最高の思い出になる。そう伝えたいのだけれど、それは気恥ずかしさのせいなのか、自分の中国語の下手さが原因なのかはわからないが、上手く言葉にできなかった。

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記念撮影をして、ウェイチンは元来た道を引き返していく。けっきょく山線を周回したら帰りの電車には間に合わないので、海線を引き返すことに決めたらしい。
この後ウェイチンは自転車のタイヤがパンクして、仕事中の原住民の人の車に乗せてもらい、ギリギリで台東発の電車に駆け込んだらしい。
僕はそれを聞き、「これが台湾人の人情味だやっとわかったか!」と自慢をした。



10時、成功市内に入る。
予想よりずっと大きな街で驚く。こんな賑やかな街で一泊したかったと悔やむ。予定をしっかり立てていないので仕方ないが、寂れた場所ばかり経由している気がしてくる。



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まだ早いが昼飯にする。海線は食べれるときに食べとかないと、次いつ食事の機会がやってくるかわからない。
三種の部位が入った牛肉麺。よくわからないビラビラの内臓が入っていて美味い。



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有名な観光地、三仙台を無視して突き進む。
今日も絶景。天気も良い。ただ海に飽きた。
三和の宿の女将さんが言っていたキラキラ輝く五色の海は、こんな感じだろうか。朦朧とする頭でぼんやりと思う。



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対向車線をやってきたチャリダーの外国人。自分も外国人だか。
手を振るとこちらへやって来る。
フランスのおじさん、オリ。もう七年も旅をしている生粋のクレイジーピーポーで、さっきそこでピロウを拾ったと喜んでいる。自転車のかカゴにはボロボロのエアー注入式枕が入っているのを見て、思わず吹き出す。陽気で親切でブッ飛んでいる。
今花連手前の山奥でヒッピーフェスティバルが開催されていて、そこはテントなら無料でずっと滞在できると熱心に場所の説明をしてくれる。
「yoshiなら大歓迎さ!」みたいなことを言ってくれるが、ピッピーの定義を知らないがたぶん僕はヒッピーではないと思う。



午後五時半、本日の目的地の宿に到着。
到着前から嫌な予感はひしひしと感じていたが、予感的中、周辺には一切なにもない。
たた宿の雰囲気は凄く良い。まるで自分の家のようは感じがする。



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おばちゃんに近くに食べ物屋ないけどどうしようと言うと、ここで食べたらいいと言ってくれる。
ここのおばちゃんは全然気を使ってないような感物言いをするけど、実はさりげなく気に駆けてくれている感じが凄く心地良い。



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食後はみんなで月を見に宿の目の前の海岸へ。
みんなは「月だ月だ!」と騒いでいたけれど、台湾で月は珍しいのだろうか。よくわからないが綺麗だったことは確かだ。
そして流れ星も見えた。
夜の海は、子供の頃の夏休みを思い出す。心地良いような、それでいてソワソワと落ち着かない自分が、とり憑かれたようにぼんやりと凝視して海を眺めてる。



この日は同室に若い男の子達四人がいた。四人はなんかの電波に関係する仕事で(説明してもらったがよくわからない)、明日は朝から電波の調査でこの近くの山に登るんだと言っていた。
個性的な四人組で、それぞれキャラがたっていて見ているだけで面白い。そのまま四人でスタンドバイミーの撮影ができそうだ。
この日の宿は、まるで学生の旅行にでも紛れ込んだような、青春の臭いがする。