台湾一周のんべんだらり歩行

台湾を歩いて一周(環島)する日記

【台湾徒歩環島】22日目 枋山~恆春

枋山のバックパッカーズは七時から朝食が出るので、それに合わせて起き共同スペースへ行く。

先客は二人。そのうちの一人、おじさんをよく見ると、シャツの背中に徒歩環島のプリント。大きなザックには二種類の旗と、環島のプレート。
見間違いようのない徒歩環島だ。昨日に続きこれで三人目。意外と歩いている人が多いのかもしれない。
一緒に朝食を食べ記念撮影。

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最近異様に黒い……
僕は準備がまだなので、おじさんが先に出発。向かう方向は一緒。また後で会うことになるだろう。



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海沿いの道。眺めは最高だけど、日陰がなくて暑い。そして海を挟んで遥か彼方に、ぼんやり見える中継地点の街。遠い。



枋山から南下すると、次の車城という街の手前までほぼ何もない。
景色も特に変わらないし、日陰もない。人もいないのでひたすら歩く以外ない。



歩き続けているといつの間にか太陽が真上に来ている。暑さも最高潮に達する。



「ちょっと休んでいきなよ。この先何もないから」

どこからか声が聞こえた。
こんな人気のないところでなんだと、声のする方を見ると、道路から外れた並木の木陰、靴を脱ぎ気持ち良さそうに木の根本にもたれ掛かるおじさんが。
まるで一枚の絵のように目に飛び込んでくる光景。
歩いてそちらへ向かいながらも、内心嬉しくてたまらなかった。
寝転がるおじさんを見て何がそんなに嬉しいのかと思うだろうけど、おじさんの姿は徒歩環島というよりも完全に旅慣れたハイカーだった。
山をやってる、歩くのが大好きな人の姿。なんていうか無理なく楽しそう。



「なんで歩いてるの?」

環島を始めてたくさんの人に出会い、何度も何度もされる質問。徒歩の人に出会うことは少ないけれど、自転車の人にはたくさん出会った。みんなそれぞれ色んな理由がある。凄くたくさんの立派な理由がある。

「好きだから」

僕はいつもそう答える。バカみたいだけど、本当にそれだけ。
歩くことも台湾も大好きだから。
好きじゃないことをやるときは理由がいるけど、好きなことにはいらない。

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おじさんと木の根本で靴を脱ぎ色んな話をする。最高に楽しい。台湾に来て一番興奮したかもしれない。
おじさんは逆回りで台中で環島が終わる。後少し。この先の情報を聞くと、手帳をめくる。これまでの行程の詳細がしっかり書き込まれている。そして僕の残り時間を考慮したうえで数パターンを勧めてくれる。地図を見て色んな計画をたてるのが大好きなのを見て、やっぱり山好きそうだなあと内心でにやける。おじさんの靴下モンベルだし。
装備について聞かれると、そこから山の話になる。内心『やっぱりか!』と思いながら聞いていたら、思った以上に本気で山をやっていて驚いた。海外の山の名前が出てくる。
僕が台湾の山にも登ってみたいと言うと、台湾の山なら案内できるからと、電話番号とLINEを交換する。
そんなに休憩していたつもりはないけれど、いつの間にか二時前。僕は昼飯がまだなのもあり、そろそろ出発するかということに。
この日、僕はおじさんが来た街の恆春へ、おじさんは僕が来た街の枋山へ向かう。

この後の僕は始終ご機嫌で、ペースもいい。



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原付のおじさんが冷たいジュースをくれる。まるで配っているかのようにさりげなく渡して去っていく。写真を撮る隙もない。その場で飲み干す。嬉しくて美味しい。



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恆春の街に着いた後、宿に荷物を置き出掛けると、目の前の広場で屯しているおじいちゃんに絡まれる。
おじいちゃん78歳。とにかく口が悪い。口癖は「アタマコンクリ」。日本統治時代を知っている。おじいちゃんが5歳の時に日本が敗戦したらしい。


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台湾の火鍋。一人なのに米が二膳あるのは、僕が食いしん坊だからではなく、火鍋を注文すると米がついてくることを忘れて注文してしまったからだ。
台湾の火鍋は、庶民的な味で最高に美味い。



こんな感じで22日目終わり。